錯覚と思い込みの世界へようこそ [脳科学]
この動画を見たことがあるでしょうか?
ハーバード大学で行われたある有名な実験です。
動画を再生して、「白いユニフォームを着た生徒が何回パスするか数えてください」。
いかがでしょう。
再生しましたか??
パスの数は15回です。
ところで、画面を横切るゴリラが見えましたか?
超エリート集団であるハーバード大学の生徒の半数は、
このゴリラを認識できませんでした。
条件や参加者の顔ぶれ、実験する場所を変えて
何度繰り返しても、常に約半数の人がゴリラを見落とすのだそうです。
堂々と画面を横切り、胸を叩いて立ち去るゴリラが
何故見えないのでしょうか?
これは科学的には“非注意による盲目状態”と呼ばれているそうです。
視界のある一部の要素に注意を集中させているとき、
人は予期しないものに気づきにくいのです。
さらに重要なことは、ゴリラを見落としたと知った人々の驚愕ぶり。
「あれを見逃したの!?」
「まさか!テープをすり替えたのでは?」
パスを数える必要がなくなった参加者はすぐさまゴリラに気づいて
ショックを受けたそうです。
彼らは皆、たとえ別のことに集中していても、
視界に目立つものや異常なものがあれば、
絶対に自分の注意を引くはずだと思い込んでいたのです。
私たちは自分で思っているほど、まわりの世界を見切れていない。
「錯覚の科学」は、そんな普遍的な事実と
私たちの能力の限界を教えてくれます。
冒頭でご紹介した「注意の錯覚」以外にも、
「モーツァルトを聞くと頭が良くなる」や
「脳トレを続ければボケは防止できる」
という脳科学の通説も徹底的な追試実験により覆しています。
これまで自分の信じていたものは、
メディアにより栄えた思い込みか、それとも錯覚か?
そんなことを考えるきっかけを与えてくれると思います。
もっと脳の仕組みが知りたい方にはこちらもオススメです。
こうして、あなたは誘惑に負ける
これは、健康心理学を専門とするスタンフォード大学の心理学者
ケリー・マクゴニガルさんによる超人気講義
「意志力の科学」を基に書かれたもの。
目標を達成し、「なりたい自分」になるために
必要な「意志力」を解き明かした本です。
意志力というと気持ちだけの問題かと思ってしまいがちですが、
自己コントロールというのは心と体の両面から考える必要がありそうです。
例えば、ダイエット中に、とびきり美味しそうな
ストロベリーチーズケーキに出会ってしまった時のことを想像してください。
このとき、一時的に「報酬への期待」に捉われ、
脳と体にこんな変化が起こります。
脳の中央からはドーパミンが分泌され、
「今すぐあのチーズケーキをゲットしろ」と命令します。
そうすると血糖値が下がってきます。
糖分と脂肪たっぷりのケーキを食べると、
血糖値が一気に跳ね上がるため、
あらかじめ体のほうが気を回して、
血中の糖分を下げようとするのです。
血糖値が下がるとフラフラして手が震え、
ますます糖分が欲しくなりますから、
チーズケーキの誘惑に打ち勝つのは困難となりそうです。
このような誘惑を退け、自分の身を守ることができるでしょうか?
「うーん、自信がない!」
という方はぜひ本書を読んでみてくださいね。