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アジア最貧国で「かわいいバッグ」を作る!七転八倒の号泣戦記 [ソーシャルビジネス]

 

「日本の社会起業家について考える」というテーマの2日目です。
今回は情熱大陸にも出演されていたこの方の著書をご紹介。



case2:
アジア最貧国で先進国にも負けない
ブランドを立ち上げる!

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)

  • 作者: 山口 絵理子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/09/22
  • メディア: 単行本

 

著書の山口絵理子さんはものすごく個性のある方。
生い立ちも変わっています。

小学生でいじめにあい一時不登校、その反動で中学生は非行に走り、
高校生ではなぜか「男子柔道部」に入部。
毎日タイヤ引きをしては、巨漢の男子生徒に雑巾のように投げられたり、
先生に締め落とされたりしていたそうです。

そのあとに大学受験者が3%という工業高校にもかかわらず
三ヶ月の学習で慶応大学に入学。
そして大学院はバングラディッシュという
人生の節目節目にとんでもないバイタリティを発揮している方です。

本書は、この方がバングラディッシュ発のブランドを作り、
先進国の女性が「可愛いから欲しい!」と思うようなバッグを作ろう
決意し、実現するまでの奮闘記となっています。

しかし、そこに至るまでに、詐欺や賄賂や夜逃げや裏切りなど、
日本ではありえないくらいの問題が多発!

何せ水道を引くのにも、郵便を受け取るのにも、すべて賄賂が必要。
あきれたことに、車に引かれた人のために救急車を呼ぶために
警察に声をかけても賄賂を要求される始末。

選挙運動では「ハルタル」と呼ばれるストライキも頻発し、
与党と野党のデモ隊のぶつかりあいで殺し合いに発展することもあるのだとか。
しかし、日銭欲しさにハルタルに参加する労働者も多いようです。

ビジネスにおいては、信じた相手が盗みや夜逃げをするのは当たり前。
著者の山口さんは日本人の感覚では信じられないトラブルの数々に見舞われます。

それでも彼女は、夜逃げされた工場で号泣しながらも、

「こんな国だからこそ、希望の光となるブランドを創りたい!」

と決意し、諦めずに理想のバッグを追い求め続けるのです。



意外すぎ!ジュート素材のバッグが
こんなに可愛くなるなんて?



山口さんがこだわっていたのは「ジュート」という素材でした。
実はこの素材、バングラディッシュが世界の輸出量の
90%を占めているという天然の繊維。
よくコーヒー豆を入れるのに使われる麻袋のような素材です。
山口さんは、この素材でバッグを作ろうと心に決めていたのでした。

時々、百貨店などで販売してますよね。
ジュート素材のエコバッグ。
↓こんな感じです。



正直、フェアトレードというコンセプトを前面に押し出さなければ
売れないようなものばかり。
山口さんは、こういうものを作っても、
「かわいそうだから」
と慈善事業のつもりで買われ、押入れの奥に仕舞われるだけで
意味がないと考えていました。

それよりも、可愛くて日本の市場でも十分に通用するものを!
と考え、現地スタッフと一緒に考えに考えて新しいバッグを生み出すのです。


そして試行錯誤の末生まれたのがこちら。
(公式サイトから写真をお借りしました)


裏地もついています。




「なにこれ可愛い!!」


と思わず叫んでしまいましたよ。
色も形も風合いもすんごく可愛いではないですか。

ジュートと聞いて、コーヒーの麻袋を想像してましたし、
バングラディッシュでこんなに高い技術を持ち合わせている職人がいるなんて
思いもしませんでしたから、余計にびっくりです。
(なんせ隙あらば夜逃げするような職人ばかり出ていましたから)

レザー製品もあるんですよ。


このなんともいえない、上品なグラデーション!
これなら確かに先進国の女性が「欲しい!」と思うような品質です。
日本で出展したところ大好評で、入谷に直営店もできたそう。

さて、これを作り上げたことで、バングラディッシュではどうなったのでしょうか?


常に笑いのたえない現地のマトリゴール工場


マトリ.jpg

マトリゴール工場は、労働環境トップクラス!
年金や医療や健康診断、スタッフ向けのローンなど
福利厚生も充実しているようです。
労働者も家族のように仲が良いそうで、皆さん素晴らしい笑顔ですね。

山口さんの目指した「現地の人が誇りをもって働ける場所」として
機能しているみたいですね。

さらにバングラディッシュの支援にも力を入れていて
サイクロン被害にあったときはいち早く現地の声を吸い上げ、
被災者に必要なものを提供していました。
ストリートチルドレンの自立支援も行っているそうです。

まさにバングラディッシュの希望の灯りになりつつありますね。

2009年にはネパールでも工場を設立し、
オリジナルブランドを立ち上げたそうです。


「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、
 やりたいことをやらないんだ?」



本書を読んで思ったのが、

「私が山口さんなら、ここで諦めてるな。ここでも諦めてるな。
 もう100回くらい諦めてるなぁ!」

ということ。途中で

「こんなにひどい目にあってるのに、なぜ諦めないの?
 どうして軌道修正しないの?」

と疑問に思うほどでした。
でも私の心配なんかよそに見事に目標を達成してしまう山口さん。
諦めなければ夢に近づくということを体言している方です。

本書の中に印象的な言葉がありました。

「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、
 やりたいことをやらないんだ?」


という言葉です。

私たちは日本に生まれた時点で、
ごみ山に暮らすストリートチルドレンや
家族のために売春せざるをえない子どもたちよりも
よっぽど幸せな環境にいます。

未来の選択肢は山ほどあります。

でも、無意識のうちに自分のやりたいことから目をそらしたり、
人の目を気にして我慢したり、自分のなかで「やらない言い訳」を作って
諦めたことはありませんか?

周りの意見に流されているうちに、自分のやりたいことが
分からなくなっていませんか?

私はそうです。

でも、私たちはこの恵まれた環境を利用して
なんでもすることができますよね。

だからこそ、「誰かのために何かすること」。
それが、この恵まれた国に生まれた私たちの使命なのかもしれません。


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